【参考資料】Mastercard Economics Institute:2022年の経済の特徴は「デジタル・レジリエンス」と「エクスペリエンス・エコノミー」への回帰

2021年12月24日

ビジネスのデジタル化が進む中、家計貯蓄、経済成長、レジャー旅行の回復、
そして「モノ(所有価値)」と「コト(体験価値)」に対する消費支出の変化に注目

 

本文書は、12月10日にMastercardがシンガポールで発表したプレスリリースに基づいた日本マーケット版となります。

Mastercard Economic Institute (Mastercard経済研究所) は、新型コロナウイルス感染拡大から2年の節目を前に、来年の世界経済の見通しに関するレポート、Economy 2022を発表しました。

本レポートでは、貯蓄と消費、サプライチェーン、デジタル化の加速、旅行、経済リスクの増大という5つの基本的要因における重要な動向に基づき、世界経済をどのように形成していくかを明らかにしています。

  • 旅行2022年には徐々に海外渡航が可能になることにより、レジャーを目的とした旅行の需要が高まり、中・長距離のフライトが増加する。2021年は渡航規制の影響でアジア太平洋地域全体における旅行の回復は遅く、新型コロナウイルス感染症拡大以前の69%近くまで国内旅行が回復したオーストラリアなど一部の市場に限り国内旅行の回復が見られていますが、2022年は地域全体の旅行需要の回復が期待されます。中でも日本の国内旅行においては、新型コロナウイルス感染症拡大以前の約52%で、短距離旅行が3%、中距離旅行が20%、長距離旅行が19%となっている。

  • 貯蓄と消費*アジア太平洋地域の先進国における余剰貯蓄は、2022年以降の消費の力強さの根源となる。日本における余剰貯蓄は38兆2,870億円に達する見込みで、アジア太平洋地域で余剰貯蓄の消費が加速すると、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国などの市場で2022年の個人消費が2%ポイント伸びることが予測されます。世界的には、新型コロナウイルス感染症拡大による規制が緩和されることで、積み上がった貯蓄の個人消費が2022年の世界のGDP成長率にさらに3%ポイント寄与する可能性があります。

  • デジタル小売業のデジタル化のうち20%は、そのまま継続され、消費者が購入するモノと購入方法が変化する。2021年には、32の市場に渡る約88%の国でサブスクリプションサービスの利用が前年に比べて急増し、アジア太平洋地域の6つの市場では、総消費額に占める小売サブスクリプションの割合が2020年から2021年にかけて平均で25倍に増加したことから、電子商取引のサブスクリプションモデルが人気を博していることが分かります。特に、自動車会社、バーチャルフィットネス事業、自転車レンタル、ペットサービスなど、多くの業種がこのモデルの恩恵を受けています。中でも日本では、2021年の総消費額に占める小売りサブスクリプションの割合が前年比で1.4倍増加しました。

  • サプライチェーン2022年には、アジアにおいて、サービスへの家計の支出は加速し、モノへの需要も堅調に推移すると予想される。サプライチェーンの混乱が続き、物流コストの高騰や世界的な商品価格の高騰が長引く一方で、輸出は引き続きアジア地域の主要なプラス要因となっています。

  • リスク要因世界経済を混乱させる可能性のあるリスクは残る。当面はオミクロン株のようなコロナウイルスの新株が最大のリスクですが、その他にも、住宅価格の急激な再変動、原油価格の高騰、先進国の財政の崖など、景気回復を妨げる可能性のあるリスクが存在します。

 

アジア太平洋・中東アフリカ、チーフ・エコノミストであるデビッド・マンは次のように述べています。

「昨年は不確実性に覆われた1年でしたが、来年については期待しており、2022年はアジアにおいて旅行需要が回復する年になると予想しています。地域全体の回復には浮き沈みがあるかもしれませんが、アパレルや美容など「外出準備」のカテゴリーの回復に見られるように、消費者の繰延需要は増えた貯蓄で解放されると予想しています。電子商取引の継続的な成長や、住環境改善や趣味などのパンデミックで堅調だったカテゴリーも、サブスクリプション・エコノミーの着実な増加により支えられ、新たな変異種の出現やインフレ、サプライチェーンの混乱などのリスクが残ってはいるものの、ポジティブなイメージを描いています。」

 

*調査方法

Mastercard Economics Instituteは、Mastercardネットワーク内の集約・匿名化された販売活動などをもとに、世界中の経済で消費される財やサービスの量と価格を測定しています

「Economy 2022」 outlookの全文はこちらからご覧になれます。本レポートはoutlook report の第3弾で、その他のレポートはこちらからご覧いただけます。

 

*免責事項

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Mastercard Economics Instituteについて

Mastercard Economics Instituteは、消費者の視点からマクロ経済の動向を分析するために2020年に発足しました。エコノミスト、アナリスト、データサイエンティストで構成されるチームは、Mastercard SpendingPulse™をはじめとするMastercardの知見とサードパーティのデータを活用して、主要なお客様、パートナー、政策立案者向けに経済の課題に関する定期的なレポートを提供しています。

Mastercardについて (NYSE: MA)

Mastercardは、決済業界におけるグローバルなテクノロジー企業です。私たちの使命は、決済を安全でシンプル、スマートかつ、アクセス可能なものにすることで、あらゆる場所ですべての人に利益をもたらす包括的なデジタルエコノミーを実現し、強化することです。安全なデータとネットワーク、パートナーシップを活用し、消費者、金融機関、政府、企業の可能性の最大化を目指し、イノベーションとソリューションを提供することに情熱を注いでいます。210を超える国や地域とのつながりを通じて、すべての人々にとってかけがえのない可能性をもたらす持続可能な世界を構築していきます。

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