想定読了時間 6分 · 2025年
今年初め、当社は3つの主要なトレンドが我々クレジットカード業界の形を決めつつあることを目の当たりにしました。それらは、成功を可能にするための簡素化された商取引の価値、生活のスピードに合った取引の実行、そして加盟店エコシステム全体の保護です。今年は、お客様がこの3つの主要なトレンドに対応できるよう支援することに重点を置きました。当社の使命は、テクノロジー、パートナーシップ、プログラムを通じて人々と企業群をデジタル経済につなぐことでした。
安全でシームレスかつ革新的な決済ソリューションを国内外で提供するためには、新たな事業者・顧客集団、新興テクノロジー、人工知能(AI)の導入によってますます複雑化する事業環境の中において、複数のプロバイダー、契約先、系列化先、と連携することが求められます。この1年間、当社は複雑な決済エコシステムの中に点在する様々な要素を結びつけるという当社の独自の役割を有効に活用し、当社にとっての優先事項を、グローバルな商取引の手続きを簡素化し成長を支援する新しい統合プラットフォーム「Merchant Cloud」の形で結実させました。
当社は、我が社のカスタマーサービスの品質がお客様の成功に大きな影響を与えることを認識しています。貴社が当社チームとやり取りする方法から顧客管理の方法まで、あらゆるタッチポイントが重要です。
Merchant Cloudは、顧客が単一のエントリポイントから組み合わせを動的に変更できるモジュール式サービス群にアクセスすることを可能にし、1件の契約のみで統合されたシームレスなサービスを提供することで効率的なオンボーディングを実現します。
これは単なるプラットフォームではありません。パートナーとの連携がグローバルなサービス展開を通じて成長を促進する鍵となる、活気に満ちたエコシステムです。当社は、Mastercardソリューションへのアクセスを容易にするだけでなく、以下のような主要な業界イノベーターとのパートナーシップ構築を継続してきました。
Fexco – 旅行者が世界中を旅する間、合意された為替レートを使用して自国通貨で支払いができるようにします。
FreedomPay – オムニチャネルでの決済ソリューションを強化し、小売、ホスピタリティ、飲食業、エンターテインメントなど、さまざまな業界における主要なISV(独立系ソフトウェアベンダー)へのアクセスを提供します。
Optty – ウォレット、BNPL(後払い)、リアルタイム決済(RTP)などの国内外の幅広い決済ソリューションに加盟店を接続します。
消費者の期待が高まり、テクノロジーが進歩し続ける中で、企業は課題と機会の両方に取り組む準備ができていなくてはなりません。だからこそ、当社はイノベーションを続け、決済プロセスを改善するソリューションを導入してきたのです。
当社の統合型トークンソリューションは、ワンクリック決済をより身近なものにし、消費者が期待するシームレスな体験、つまり実店舗でのタッチ決済と同じくらい手軽なオンラインチェックアウトを実現します。現在、当社はトークン化を複数のカードネットワーク、決済手段、ゲストチェックアウトから定期支払いやサブスクリプション用のカードオンファイルまでの利用場面に提供しています。
これは、ライフサイクルに組み込まれた形の管理機能と相まって、承認率を4%向上させています。
先日ローンチした当社の新しい決済最適化プラットフォームは、データインテリジェンスを活用することで、加盟店の承認率を向上させ、消費者が期待する迅速でスムーズなチェックアウトを実現します。初期の導入結果では、コンバージョン率が9~15%向上していることが示されています。AI主導のテクノロジーが1兆を超える取引属性の組み合わせをほぼリアルタイムで評価し、最新のトレンドから継続的に学習して承認プロセスを最適化します。
また、地域のコンプライアンス対策や消費者の嗜好を反映した支払い体験への需要が高まっていることも確認しています。このような支払体験により、お客様は自らの望む方法で支払いを行うことができます。ローカライゼーションは重要です。統合手順を簡素化し、複雑さを増すことなく国内外の取引をサポートする適切なゲートウェイと提携することが不可欠です。そのため、2025年に当社はサウジアラビアに拠点を構えた初のグローバルゲートウェイとなり、MEA(中東・アフリカ)地域全体にわたって地域に合った決済オプションを提供するという取り組みが評価されて「地域デジタル決済の発展への最優秀貢献者賞」および「年間最優秀決済ソリューションプロバイダー賞」を受賞しました。
米国では、こうしたシームレスな決済を実際に導入し、Uberとの連携を強化することで、幅広いデジタル決済を迅速かつ安全に受け入れられるようにしました。これにより、ドライバーと乗客は生活のスピードに合わせて取引を行うことができます。
今日のデジタル環境において成功を収めるためには、決済セキュリティ技術の進歩が不可欠であり、企業が規制要件を満たし、グローバルな認証基準に準拠する上で役立ちます。AIを統合することにより、増加する取引量や進化する不正行為パターンを継続的に計測し、学習し、適応していくことで、決済保護を強化します。
この先進的なアプローチは、Mastercardの取引リスク管理と緊密に連携することで、不正取引をリアルタイムで検知し、サタパナ銀行のような金融機関が顧客体験を最優先することを可能にします。チャージバックの数を削減し、承認率を最大80%向上させることで、企業は信頼性とセキュリティを維持しながら、自信を持ってデジタルサービスを拡大することができます。今回、カード発行者からの応答の更新とルール管理におけるAIスコアという2つの強力な新機能により、取引リスク管理は、より豊富なデータとより賢明な洞察力をルールエンジンに直接統合できるようになりました。これらの機能強化により、不正検知能力が向上し、意思決定の精度が高まるほか、不正分析担当者がリスク管理のためのより高度なツールを活用できることで、より予防的で適応型の不正対策戦略を取れるようにすることを支援します。
世界的な商取引が拡大する中、これらのインテリジェントな保護機能は、レジリエンスを確保し、パートナー企業が新たな脅威に先手を打つとともに、スムーズな決済体験を提供できるよう支援します。
パスキーも2025年には重要な焦点となりました。フィッシングやハッキングの試みを防止するために設計されたパスキー技術は、生体認証に革命をもたらしており、ユーザーの90%がパスキーはパスワードよりも安全で便利だと考えています。今年は、消費者が支払いを確認できるように、Click to PayでMastercard Passkeysの利用を可能にしました。消費者は一つのパスキーに複数のカードを追加できるようになり、支払い方法の選択肢が広がりました。
こうしたイノベーションを推進していく中で、パスキー、承認の最適化、決済体験に関する当社の取り組みは、単なる技術のアップグレードにとどまらず、シームレスで信頼性の高いデジタル体験への移行を示すものとなります。
2025年は、コマースの簡素化、取引の加速、そしてエコシステムの保護という課題に共に取り組んできた1年でした。2026年を見据え、簡素化、イノベーション、決済保護へコミットすることにより更に多くのビジネス要素をつなげることで、お客様の成功を支援していきます。
[1] ゲートウェイデータウェアハウス、2024年既存顧客アップリフト分析の平均
[3] Mobile Biometrics in Financial Services: A Five Factor Framework, University of Oxford, Mastercard