経理の合理化
Chapter1Chapter2Chapter3Chapter4Chapter5Chapter6
(第3回)
ご存知ですか?
仮払いにかかる経理コスト負担

 

社員の立替経費の精算に仮払い制度を利用している会社をよく見ます。
実は、この仮払い制度が経理にすごい負担をかけているのをご存じでしょうか?

1.仮払いは二度手間、三度手間

仮払い制度は、社員や役員が出張や接待などをする場合に利用されます。たとえば東京から大阪へ出張する場合、新幹線(または飛行機)代、手土産代、宿泊代、取引先との会食代やその他の諸経費などがかかります。出張に行く前に概算を見積もり、経理に仮払いを申請します。
経理は、銀行からお金を引き出してきて、仮払い申請者へ現金を渡します。現金を支出したので、現金出納帳に記録するとともに、もう一つ、仮払金を管理するための帳簿をつけなければなりません。「誰にいくら仮払いして、いついくら精算し、今の残高がいくらなのか」を記録するためのものです。これは、仮払いする個人ごとに記録しなければならないため、仮払いする人数や回数に比例して、事務処理が増えていきます。 やっかいなのは、仮払いの精算をせずに、次の仮払いをする人が少なくありません。いつの仮払いが精算済みで、いつの仮払いが未精算なのかを、本人は仕事が忙しくて忘れてしまいます。このため、本人の代わりに経理担当者が、帳簿に細かく記録しながら管理してあげなければならないのです。
仮払い制度は、使用者にとっては便利な制度に見えますが、実は、通常の立替経費の精算事務よりも経理にとっては、はるかに手間がかかっているのです。会社は当然、その分の経理の人件費コストを負担しているわけです。

2.なぜ仮払いが必要なのか?

立て替える経費の額が小さければ、わざわざ面倒な仮払い申請などせずに、自分のポケットマネーで払って、後でまとめて精算します。
しかし、自分の財布の中身が乏しい人や、出張や接待が多く立て替えがかさむと負担が大きく、会社から仮払いしてもらえないと、活動することができません。したがって、人によっては1万円でも仮払いを申請する人もいれば、10万円でも個人で立て替える人もいます。つまり、仮払いするかどうかは、個人の懐具合によって決まるのです。
金額がいくらであろうと、仮払いをすれば、経理がする仕事は同じです。会社にとっては、社員や役員への貸し付けと同様ですから、個人別に仮払金の増減と残高を常に記録して管理しなければなりません。

3.クレジットカード会社に立て替えてもらう

つまり、社員や役員が自分の財布を傷めるのがイヤなので、会社から仮払いを受けなければならないのです。
そこで、社員や役員の手持ちの現金を使わずに、なおかつ、会社からの仮払いを受けなくてもいいように、法人用クレジットカードを利用します。クレジットカードを利用することにより後で払うことができるので、自分の財布は傷みませんし、会社に前借りする必要もなくなります。
私は、出張旅費や宿泊代、交際費、書籍代からPC関係の消耗品代など、仕事関係の経費のほとんどを法人カードで支払うようにしています。毎月10万円以上になりますが、事務所から仮払いをしてもらわなくても、クレジットカード会社に立て替えてもらっているので、財布の中身を気にする必要がありません。

4.経理から余計な仕事がなくなる

現在では、ほとんどのビジネスパーソンがクレジットカードを日常的に利用しています。新幹線代や飛行機代、接待費用や手土産代のなんでもクレジットカードで購入することができる社会です。
社員や役員が個人の現金を使わなくなれば、会社に仮払い制度はいりません。そうなれば、経理が「仮払金」を個人別に管理するというムダな仕事がなくなります。
私の薦めで、経営者が法人カードを利用するようになった会社がありますが、経理担当者は、「社長の仮払金の管理がなくなって、すごく楽になった」と言っています。
スモールビジネスにおいては、経費の大部分を使うのが経営者です。忙しい経営者がなかなか経費を精算してくれないので、月次決算がなかなか締まらずに困っている経理担当者が世の中にたくさんいるのです。
仮払い制度をなくして、経営者が法人カードを利用するだけで、経理がすごく助かります。その結果、経理担当者のムダな残業もなくなるのです。

Chapter1Chapter2Chapter3Chapter4Chapter5Chapter6

※コラム内容は一般的な事柄について、著者個人の見解を掲載したもので、MasterCardの見解ではありません。
 また、法律や税務上のあらゆる課題に関して包括的に当てはまるものではありません。
 個別の事柄や課題に関しては専門家の助言を求めることをお薦めします。
※このホームページ内に記載されている、全ての事柄を無断で転載することを禁じます。

Profile
児玉尚彦
児玉尚彦
税理士

株式会社 経理がよくなる

代表取締役

 

1962年3月生まれ。

(株)経理がよくなる 代表取締役。

1984年、埼玉大学経済学部卒業。

外資系保険会社の情報システム部門に 勤務し、業務の合理化とシステム化の考え方をマスター。

監査法人にて経理業務のコンサルティングなどを担当後、税理士事務所に勤務しながら税理士資格を取得。

児玉税務会計事務所の設立を経て、(株)経理がよくなるを設立、お客様の経理業務の改善で数々の成果実績をあげる。

2002年、『経理合理化プロジェクト』を発足。

全国の多くの企業に対して経理業務の合理化を提案、成果をあげている。

著書多数。

 

 

Content
(第1回) 現金を使うと時間をムダにする!
(第2回) 基本はデジタル。会計処理はすべてパソコンで
(第3回) ご存知ですか?仮払いにかかる経理コスト負担。
(第4回) かしこい裏ワザ!公共料金のクレジットカード払い。
(第5回) インターネットは我らの味方! 効率的な決済手段を活用しよう。
(第6回) 税務調査もラクラク対応、クレジットカードを使った領収書保存のノウハウ。

 

※上記の内容は変更になる可能性がございます。